雑司ヶ谷の朝食屋 きつね
著者:浅木伊都
祖母の死後、雑司ヶ谷の朝食屋を継いだ悠佑。だが、店には閑古鳥が鳴く日々だった。 「腕はいい。でも、君のそういう性格が、客を遠ざけてるんじゃないか」 元常連の小宮山にそう告げられ、悩みもがく悠佑。そんな店に、事情を抱える訳ありの客が少しずつ集まり始める。 彼らと甘辛いきつねご飯や、焼き魚とたっぷり野菜の味噌汁を囲むうち、悠佑は人が求める温かさに気づきーー。 これは、傷ついた心が美味しい朝食とともにほどけていく、心の再生の物語。 一章 風の強い朝の衣笠丼 二章 夏の盛りのきつねご飯 三章 彩りたくさんおいなりさん 四章 フレンチトースト、お揚げバージョン
読者のトーク・感想
評価:5点
料理小説なのに、主人公の欠点が味じゃなく性格に置かれてるのが良かった。腕はいい、でも君の性格が客を遠ざけてる、と元常連の小宮山に言われるところから始まるので、美味しいものを出せば解決という話にならない。きつねご飯も衣笠丼も、悠佑が誰かに合わせて作り方を変えていく過程で出てくるからちゃんと意味を持つ。祖母の店を継いだという設定が重石として最後まで効いてるし、朝食という時間帯を選んだのも巧い。